[平時であれば、振り切って自分たちの領域である山野に駆け込む事もできたのだろうが。
余裕のない状況と追う側の数は、山の民の若者たちに不利に働いた]
『あー、もう、ルディの無茶のおかげでー!』
『いや、それ、違うだろ』
[最終的に取り囲まれた若者たちが上げるのは、どこかずれた文句とそれへの突っ込み。
伝令の翼も飛ばしたばかりで、まだこちらには戻っていない。
この状況下で二人の若者──鳥使いのシルワと弓使いのワリスが取れるのは、向こうに従う事。
勿論というか、状況を理不尽と思うが故の憤りは、確り瞳に浮かんでいたが。*]