[それから、更に。]
強制的に書かされたものとはいえ遺書があるのは頂けない。
どうしようかな……ああ、そうだ。
[アレクシス殿の亡骸の、その傷口を指で拭って。
付着した血でフィオン殿が座る机の裏に文字を書く。]
ええと、この姿勢だと逆さ文字になるから……こうか。
[曰く「遺書は無理やり書かされた偽物」と。
あとは彼の人差し指にも血をつけて。]
これでよし。
後の調査は近衛に任せよう。
[手袋を外し、ポケットに仕舞い直す。
このように手早く現場工作を済ませる僕を、
リヒャルト殿はどう見ていただろう。]