[こつ、と地に落ちた音が聞こえた瞬間に目測を誤った事を悟る。この距離で外すなどありえないはずだったのだが、この霧が感覚すらも惑わしているのだろうか。最も、それを考える余地を男には与えられなかった]ぐ、ぅ…![風を切る音を察した刹那、身体を横に反転させると一瞬前まで右肩が置いてあった地に爪が突き刺さる。かろうじて避けられたものの、その爪が掠った肩の布地が避け、その下の肌も微か削り取られた事にくぐもった声を漏らした]