―士官寝室―…っ、が…っ。[男は飛び起きて寝台の天井に頭をぶつけ、強打した額を抑えて呻いた。]「どうしたんだい。」[声の方を向けば同室者の顔があり、声にならぬ悲鳴を上げる。それが自分と似た顔でなくて安堵しつつ、浅く息をつく男は頭を抱えた。年に二、三度こんな夢を見る。それは自分が未だに兄と変われるものならば…と思っている所為なのか。]「驚かせてごめん。ねぇ、魘されていたようだけど。」……何でもない。