─ 少し前/セミヨン川南岸 ─
[陣へ戻ろうと声をかけた折、こちらへと馬首を返したロー・シェンに呼びかけられる>>42]
なんだ?
[それに応じれば、先に願い出た先陣の話に加え、民の想いを代弁するかのような言葉を向けられた]
あぁ、分かっている。
…王たる素質の無い私ではあるが、民達の支えにはなれると言うのは理解している心算だ。
[以前王である兄に、お前は王には向かぬ、と呆れられたことがある。
兄に跡継ぎが生まれるまでは心配されたものだが、騎士としての才能を見出されてからはそのぼやきも無くなった。
男自身、王になることに興味はなく、民や地を護ることが己が使命と考えている]