―自室―[ポーン……と鍵盤が奏でる軽やかな音と共に、詰めていた息をフッと吐き出す。腕の痺れとともに残る、音の余韻を堪能しつつ、閉じていた目を開いた。]ここで切り上げましょうか……。[無理を言って自室に搬入してもらったピアノ。体感式ホログラフではなく、実物を搬入してもらったため、コストは嵩んだが……まぁ、仕方がない。鍵盤を撫で、ふたを閉めた。集中して弾き続けていたので気が付かなかったが、それが切れた今、随分と腹の虫が騒いでいる。]まずは、食事……ですかね。