[手袋を外すことへの彼女の返答は、予想していたものだった。当然のように聞き流す]
可愛いとか可愛くないとかの問題じゃない。
店までずっと素手で持っていく気だったのか?
[彼女と同じように、その手を見つめる。見慣れたいつもの細い指先。
それでも雪兎を彼女が連れて帰りたがるなら、仕方がなくと言った態で、そのまま左手に乗せて男が持って帰るのだろう。手袋越しにも伝わってくる雪の温度に、小さく息を吐く。
指輪と言う言葉を繰り返し、表情を緩めた彼女には]
流石に要るだろ。
[そっけない声を返して、僅か視線を逸らす。彼なりの照れ隠しだ。
しかし続く言葉が聞こえれば、再び彼女へ視線を向ける]
……ヴィオ。御前は、俺を何だと思っているんだ。
[無邪気とも思えるその微笑みに、いつかと同じ言葉を呆れたように呟いた**]