― 回想:Nルーム付近 ―
え?気にしてないわよ?
そう思うのが当然でしょう?
私だって、血なんか、好きじゃないしね。
それにね?
……血まみれな私を見たのに、
"大丈夫?"って声をかけてくれる
優しいヴィクトリアを
……忘れたくないわね。
[心なしか肩が落ちた、しょんぼりとした様子に、慌ててそう告げた。
考え無しは自分の方だ。
素直にまっすぐ受け取る彼女に、こっちが悪いような言い方をしたなら、自分を責めるに決まっていたのに。
だから、告げる。
言外に、もっと自由に、何でも言っていいのよ?って。
彼女が嫌がりさえいなければ、その震える手>>48を取って、大丈夫よってにこりと笑おうか。
避けられるようであれば、ごめん、びっくりしたよねって謝って、何事も無かったように会話を続けよう。
彼女の出自については知る由もなかったが、どこか放っておけない子どものようで。
彼女が人狼だったり、死神だったりするならば、もう"仕方がない"と諦めるほどには、疑っていなかった。]