― 南島戦場近辺 ―
[大規模な戦いなどは、それこそ千年の昔に幾度かあったきり。
戦士としての誇りは伝われど、心構えまでは未だ行き足りぬ。
そんな状況で見た戦場は、外より齎されたもの──奇しくも、自分たちの手で見出し運んだ異国の技術の存在もあり、若者たちに畏怖の念を抱かせていた。
そんな状況で見咎められ、追われれば、条件反射も込みで逃げるは必定──なのだが]
『なんで追われなきゃなんないんだよ!』
『知るか!』
[なんてやり取りをしながら、逃げてゆく。
牽制のために矢を放つ、というのは考えてはいなかった。
それだけはするな、と厳重に戒められていたし、何より余裕がない]