[戦況は現状だけを見れば、魔軍優勢と言えたかもしれない。
しかしそれは数の優位によるもの。純粋な損害の絶対数で言えば、魔軍の方が大きいだろう。それが分かるがゆえに。高笑いを上げながらの殲滅、蹂躙とはならないことに、不甲斐なさを感じていた。
そんな折。自身の送った伝令>>53と、カトワールの者達が自身の判断で送った伝令>>27が揃って到着する。
《クレステッド様!
緊急事態です!エトヴァルト様が行方不明!
転移術の痕跡と不審な人物の姿があったことより、敵軍に連れ去られた可能性があります!!》]
…………なっ………!
[あまりにも予想外のタイミングでの突然の報告に、さすがのクレステッドも言葉を飲み、狼狽えを隠せなかった。
しかし直ぐに冷静に、現状に立ち返り。]
伝令ご苦労!この戦が落ち着き次第、そちらは追って調べさせてもらう!
それと再度カトワールに伝令!
ウルフライダー隊、ボアチャリオット隊、全隊グランツェルツ橋の南へ全速力で向かえと伝えろ!
カトワールの防衛は最小限でよい!奪われることがあれば本隊到着後に奪い返す!