[耳元で囁かれました。少女は闇の中で目を見張らせて尚も抵抗を示しますが、]っん、――![ふかく、ふかく。牙が突き立てられれば。少女は一声呻いた後、拘束された体をびくびくと痙攣させる。先ほど兄に許した時とは比べ物にならぬほど深く、容赦なく、少女の命の水は奪われてゆく。僅かに動く指先はがりがりと床を引っ掻き、足の爪先は宙空にぴんと伸ばされる。……嗚呼、空になる。]