──天獄の泉・仕立て屋──
[薄絹をまとった彼女を抱きかかえながら
向かったのは仕立て屋。
事前に聞いたところでは衣装部屋なるものもあるとのこと。
迷ったが、やはり彼女だけの衣装を用意してあげたい。
そこで彼女が気に入るものがなかったら、
また衣裳部屋のほうにも寄ってみることにしよう。
細い首筋には三色菫の花飾りのついた黒のチョーカー。
天蓋から拝借した薄絹を纏わせただけの彼女は
だが、磨けば誰よりも美しくなるだろう。
このあたりの心情は、魔王たちと盛り上がっていた
他の魔族たちにも負けていない自負がある。
やがて目的の場所に辿り着けば
そこにあるのは色とりどりの衣装と装飾品、
そしてさまざまな色や素材の布と、仕立て道具。
うん…と少し思案した後、彼女の背に回りこむと]