――回想:朝食時――>>64
[関わらないでいて欲しいというカスパルの願いは、逆にフィオンの決意を固めてしまったのか、苦笑する顔に忠告が届いた様子はない。]
縁起でもないことを、言うな。
[戯言と言いながら、遺言にしか聞こえぬ言葉を告げるフィオンを止めようとしたが、彼は穏やかに言いたい事を言いきってしまう。
包みは彼の大事なものなのだろうか。
護ってやろうとは言えなかった。
カスパルの手はただ一人のためにある。
それ以上のものは持てないのだと、前世で十分知っている。]
君がそれを望むのなら、約束しよう。
フィオン、君は君の望むがままにすればいい。
[人の運命など変えられない。
ならばせめて、望むがままのことをして欲しい。
――カスパルが、身勝手な理由でドロシーの手を握ったように。]