[敵騎兵の携えた槍の一閃で矢が払われる。
金属音を立てて打ち返されたそれらは大抵が空しく地に散らばるが、運悪く彼ら近くを走っていた自軍の軍馬に当たったのを目視した。
高く嘶いて前脚を高く上げた馬に不意をつかれ姿勢を崩し、
草原に墜ち転がる同胞を避けきれず咄嗟に手綱握り飛び越えた。]
ばっ……何やって…っ!!
[責める響きはなく、滲むのは焦燥だ。
自分が気をつけておけば拾えたかもしれない。
止むを得ず、追撃が無ければ近くの歩兵と合流しろ、と後ろ手に合図する。
呻き声が遠くなり、ぎりと奥歯を噛む。]