[宴の場となる大広間へと続く廊下の途中に更衣室が用意され、そこで渡された衣装へと着替える。
光沢のある黒いスラックスと黒いベスト、足元も黒の革靴で色が揃えられ、ベストの下のワイシャツは深いワインレッドに染められていた。
全体的に暗めの色合いの中、首元に付けられた小ぶりの蝶ネクタイだけが真白く輝いている]
……良いんだよな、これで。
[着慣れない服であるために着方にやや不安を覚える。
しかし衣装は均整に鍛えられた身体に違和感無く馴染んでいた。
動きやすさも問題は無い]
大広間っつってたな。
確かこっちだ。
[一度城内を歩き回ったのもあって、ある程度の配置は頭に入っている。
燕尾服に着替えたアデルを案内するようにしながら、様々な気配漂う大広間へと足を踏み入れた*]