ん? ―――……甘いですね…[虫から薫るのは、一貫して甘い香りだった。砂糖菓子を焼きつめたような、牛乳と溶け合うような柔らかな甘さ。蜂蜜のような自然なものではない、もっと、卵のような―――――?これは一体、なんだろう。] ―――……ふむ、 これは使えるかもしれません、ねぇ。 然し、一体これは何でしょうか……[指先で黒髪を弄りながら、そんなことを独りごちる。夕闇のなか、アレクシスのシルエットが細長く、蜉蝣のようになっていた。**]