[それは、一年前、長の座を継ぐ直前の事、龍族の守る地脈の要の一つ、火山と間欠泉が大地を間断なく揺らし、蒸気に包む、およそ人からは恐れられるだけの地に現れた1人の若い異邦人。地に満ちる危険を、まるで楽しむかのような姿に呆れて声をかけたのは、最初は気紛れだった]ここは、お前みたいな小さな生き物には危険だぞ。[だから帰れと言外に滲ませた言葉に、さて、最初の反応はどうだったか…確かなのは、相手が結局、大人しく引き上げはせず、すったもんだの挙げ句に、火山地帯を案内する羽目になったことで]