― ―[物心つかない乳幼児時代。 まだきれいだったピンクのうさぬいは、常に少女と共にあった。] ひょんちち、ひょんちち「まあ、この子ったら。 最初の言葉はパパでもママでも自分の名前なくて、ウサちゃんの名前だったわ!」[覚束ない舌でうさぬいを呼ぶ少女を見て、母が笑う。 父もその場にいたのか――少女の記憶にはないし、今の母も語ることはない。 うさぬいの二つのボタンは、しっかりと見つめていたけれど*]