え、……ヨアヒムさん、……知らなかったんですか?[少女の独白を耳にして眉を顰めるヨアヒムを見つめ、驚いたように目を瞬かせる。彼は自分より先に談話室にいたから、既にシモン当たりから事情を聞かされていると思っていたのだ] あの、シモンさんに……聞いて下さい。[言い難そうに、ぽつり、それだけを口にする。ペーターの最期について、自分の口からは言いたくなかった。とは言え、さすがにヤコブ当人に説明しろとは、いくら彼のことが怪物のように思えても言えるわけがない]