― 橋の南側平原 ―
[ゴブリン相手と言えど、数千と言う大軍に一度に魔法を掛けた身。
流石に、かなり大きな疲労を感じてしまう。
正直言って、暫く魔法を使うことは出来ないだろうし、剣技だけで戦うのも望み薄。
だからこそ、苦肉の策とは言え、船団を数で押す戦略が一定の戦果を上げている様子を見れば、軽く安堵もする。>>58
しかし、それ故だろうか。
騎馬隊対策には采配を振るうと決めていたにも関わらず、騎士に高らかに叫ばせる余裕>>59を与えてしまうなどとは。
攻撃魔法の一つも使えれば直ぐに薙ぎ払ったのだが、今はそういうわけにも行かない。]
……射殺せ!
[疲労を隠した冷徹な声で鋭く命じれば、叫んだ騎士に向けて毒矢が放たれる。腕力だけは人一倍のゴブリンやオークが投げた石も混じる。
いずれにせよ、一騎討ちに応じるだけの余裕は彼にはなかった。]