[>>58背を向け歩き出した彼にはっとして、慌てて立ち上がった。如何にも縺れる足に苛つきながらふらふら後を追い掛ける。もう見失ってはいけない、頭で考えるより早く、そう思った][『待って、置いて行かないで!』あの日のやり直しのように、あの日は立ち尽くすしか出来なかった小さな子供が心の内で叫んでいたけれど、「カレル」の唇は戦慄くだけで、碌な言葉にはならなかった]