[ 押し殺したような声色で語る、
画家の口調は常の老獪さを真似たものではなく
年相応のやや青年めいた喋り口調をしている。
対する彼が声の調子に何を感じているのか>>61
気にするつもりもあるいは余裕もないままに。 ]
南方では戦禍の爪痕が未だ癒えず、
北方は侵略を狙う隣国と睨み合いの日々。
…だというのにこの国の民と来たら
平和に慣れてすっかりそれが当たり前だと思っている。
そう、きみの言うとおりだよ。
今のままならラメールは何れ滅びる。
次代の王すらすんなりと決まるか怪しいものさ。
[ 庭園から王の間までそう遠くはないけれど、
話し合いや争いの声が聞こえてくるほどではない。
けれど、きっと穏便には済んでいないだろうと
予知めいた推測だけはしていた。
…それが事実であるかどうか今のところは扠置き。 ]