─酒場の外、入口横にて─>>56イェンス
ああ、別に構わないがね。
その度に酒を一杯奢ってくれれば──と、ここはもう無くなるのだったか。
[相手の申し出には快く頷きました。
けれど、その代金としてほんの一杯の酒代を、と言いかけて気付きます。
この店はもうなくなってしまうのです。
悔しげに眉を顰めましたが、ここの店主を説得するのも難しい気がします。まず店主を直視出来ません冒険者の出会いと別れを支える場が必要なくなった今、店主が店をたたむのも道理であると言えるでしょう。
いつでも良いと言ってくれるイェンスに対し、男は少しだけ考え込みます]
では、この一週間のうちに、どこかで。
一週間後には発つ、かもしれないからね。