[巫女姫姿では結い上げている髪は、今は真っ直ぐ下ろされている。
背中で揺れる毛先や、簡素な平服に、
慣れたような慣れないような――曖昧な心地を抱く昼下がり。
なにやら熱心に議論を交わしている声>>4に、
自然と耳は傾けられた]
ロイ兄様がおっしゃる意味は分かります。
……、でも。
[熱弁が途切れた合間を縫って、議論の場に近づいた少女は疑問を零す]
軍属の方々は此の国の自衛のために、
今この時も鍛錬に励んでいるのではありませんか?
[“その時”が来るまでは過去も未来も変わらぬであろう、平和ゆえに弛緩した軍の現状>>18を、少女は知らない。
故に、自衛の力は既にあるだろうと信じて疑わぬ宵藍の双眸が、
不思議そうにクロードを見上げた**]