― 征服直後:儀式の間 ―
[通路を進むと、魔法陣の描かれた大きく立派な、霊木で作った紫色の扉を見つけることが出来た。それは記憶にあるものに相違ない。
まずはこの時点で、魔王に念話にて報告を入れておく。]
――魔王様。「儀式の間」を見つけました。
――途中に目眩ましこそあったものの、部屋自体は健在のようです。
――玉座の間から出て西側、突き当りの通路を北の方向に進めば、左手の壁から通路が伸びております。目的のものはその先に。
――これより、部屋の中を確かめます。
[念話を終えて扉を開けば――
玉座の間の倍程度の広さを持つ部屋がそこにはあった。
さすがに埃を被っている事自体は否めないが、部屋の中央に大きく描かれた魔法陣や、大抵の儀式を行うには差支えのない獣脂の蝋燭、そしてそれらを用いるのに相応しい、いくつかの宝石をあしらった燭台は未だ健在であった。]