[視界を閉じたままで、彼の声を聞く。嬉しい──その言葉にまたじわりと心が溶けるようにそこから溢れそうになる。
いつだって望んでいたのはその笑顔。彼が幸せであることが嬉しかった。一番見つめていたのだから。
するりと指に何かが通る感覚といいよ、という言葉で眼を開く。]
わぁ…………
[その約束の指には小さな空が広がる。少し照れたような彼の笑顔に思わず堪えていたものが溢れた。]
お嫁さ…んに……してほ……しいっ……て……
言……ったか……ら……?
[それは数日前に全てを打ち明けた時に言った子どものようなお願い。不安に潰されそうだった心が溶けてゆく。ありがとう、が紡げずに、泣きながらニコリと笑った。]