― 世界樹の枝の上 ―
グラフヴィトニル...かあ、どんな奴なんだろうねえ?
[ 太い蔦や幹の窪みを掴み、身軽に上へと身を運びながら、ウェルシュは、ミリアムに声をかけた。
どうやら、あまり木登りが得意とは言えなさそうなミリアムだったが、体力が有る分、難しそうな所は、上から少し引っ張りあげるだけで、ちゃんと着いて来る事が出来ている ]
ミリアムは、魔法も剣も上手いものね、ボクが足手纏いにならないようにしないとなあ。
[ 恐らくウェルシュが、彼女に勝てるのは、身軽さと素早さだけだ。それもほぼ物理特化とあっては、魔法で後衛を引き受けていたステファンには、とても及ばないだろう。
多少のプラス材料があるとすれば ]
疾風の魔法は、火炎の魔法と相性がいいから、ボクがちゃんと使えれば、魔法の効果があげられるかもだけど。
[ 言いながら、ふと、精霊の腕輪に触れるのは、まだ多少魔法に関しては自信が無いからだった ]