― 回想/出会った日 ―
[幼い日。ベッドに潜り込んで泣いているよりは少しだけ大人になり、熱を出して寝込む都度、少しずつ増やされていく本が「お話」ばかりだけではなくなって来た頃のこと。
それでもまだ世界は未知で溢れてきらきらしていた頃のこと。
『…そこでなにをしているの?』>>57
ある日、初めて城を抜け出そうとしていたウェルシュは、背後から不思議そうにかけられた声に驚いて、どうにか登りかけてた壁からころりと転がり落ちた。]
…… わぁ っ!
[と、随分と間抜けな声を上げて地面に転がれば、髪も服も草と葉っぱだらけだ。顔を赤らめて見上げれば、もやしっ子。なんて笑い声が頭の上から降って来た。]