――ソマリとの…――
[>>0:516懐かしさを覚える筈の彼の声で、呼ばれた昔の名にすらぴくりとも反応する事は無かった。
[問い掛ける声にも言葉の内容にも全く興味を示すでもなく、人見知りな猫は無愛想に、挨拶は済んだとばかりにすぐに踵を返して、ふらりその場を後にしただろう。
扉を潜るその前に、一度だけ振り返って彼へと向けた眼差しを、その時のソマーリュが、拒絶か黙認か、どちらの返事として受け取ったかは彼のみぞ知る処。
もし、彼が、後者と受け取っていたならば、今日までの間、気紛れに甘えて見せる事もあったかもしれないが――…]