ん?
[ そして、再び踵を返して歩き出そうとした時、アイリ同様、小さな獣の姿に目を留める>>59 ]
ふん。偵察か。
[ 殺気も敵意も見せない、そして、どこか気配の薄い獣は、男の食指には触れず、アイリが近付いて行くのも放置する。
それでも、その場を立ち去らず、刀の柄に手をかけはしたのは、相手がどう出るかを見定める気だけはあったからだが ]
...狼の匂いがするな。
[ ふと、吹き抜けた風に顔を上げ、目を細めた。
以前、幾度か、狙う獲物が『被った』ことのある若いハンターの匂い...狼の獣人であるその相手を、男は、それなりに評価していた。
つまり、退屈しのぎの遊び相手になり得る存在として ]