[ 天上宮の探索を初めてからしばらくの後、最初に行き着いたのは、天上において、最も強い陽気と火気を身に宿らせた神……ある意味、陰気に偏る半妖としてのレトにとっては、最も恐ろしい神であり、故にこそ、惹かれて止まない相手でもある ]
朱雀様。
[ 身内にある恐れはしかし、表には見せず、真っ直ぐに朱雀神に歩み寄り一礼する ]
先だっては、お世話になりました。同行させていただいたおかげで、俺も色々と学ばせて頂きました。
心より御礼申します。
[ 過日の妖魔退治では、天上宮に戻った後、朱雀神と玄武神は互いに同じ場に居合わすを避けていた。それは、互いの役目のために、双極たる二神が顔を合わせれば力の均衡が危うくなるという配慮のためだったが、そのとばっちりを受ける形で、レト自身、朱雀神への挨拶をせぬまま帰還することとなってしまっていたのだ ]