はいはい御免なさい、宮廷画家どの。
[詫びているにしては軽い口調の、そんな言葉を口に軽口へ返してから。
歩き去る彼女が残した言葉にため息が出るのは最早無意識、不可抗力だった。>>54]
若い者ってそっちのが歳下だろうよ…。
はぁ…なんていう爺臭さ…。
[斯く言う俺は “歳上” とは思っても “老いている” とは言わないし思ってもいない。
彼女の
尤も、そっちをよく知っている訳じゃないから、やっぱり彼女を苦手とした理由はその話し方でしかなかった。
そうして去って行くのを見たなら、漸くと士官様と改めて会話を再開する形になったが。]*