[握手を交えた手を開閉する。あの温度を、自分はどこかで知っている気がした。ラストネームで呼ばれる事に言いようのない違和感を覚える。引かれた線を……どうして悲しいと思うのだろうか。急に胸の痞えを感じて、咳払いで振り払う。記録誌を読む気が消えてしまった。食堂で何か飲み物でももらいに行こうかと思っていると、新しい足音が聞こえてくる。>>57] ……あなた、たしか。[入ってきたサシャの顔を思わず見つめてしまっていた。*]