[返事が聞こえれば>>63、戸を開くのに躊躇はない。
何度同じ事を繰り返しても、家の主人の不在を確認してしまうのは青年の悪い癖であるけれど、直すつもりも今のところは無いのだった。]
――…林檎が出来過ぎちまってさあ。貰ってくれねえかな。
[どこぞの農夫と違って男のこれは唯の趣味だけれど。
背負った袋を床へ下ろせば固い音がして、げ、と声を出した。
しかし、それも一瞬のことで、中身を一つ取り出せばオットーの方へ如何?と差し出して見せる。
受け取りを拒まれたなら?
パンの材料にでもしてもらおうかと考えているのは内緒の話。]**