[志半ばに斃れたフェリクスとは違い、彼の実弟は人生においても、生き方においても優遇されていた。軍に所属していた彼は一代にして高官まで登り詰め、地位を確固たるものにし、やがては自らの親族にも軍部へ属することを求めた。ただし、血族を優遇する態度と並立して、彼は人の才覚を見抜く目も持ち合わせており、役に立たないと判断した一族の者については容赦なく切り捨て、離縁を申し入れたという。]