[シモンとジムゾンの姿は見えない。けれど、その行方を示すように、足跡と血痕が教会の方へ向かって続いていた>>11――それで、“人狼”の正体をうっすらと察する。あぁ、そうかと、水が染み込むように理解が広がった。誰よりも“処刑”に憤り、人同士が殺し合うことを厭った神父の姿が、脳裏を過る。言うべき言葉は何も見つからなかった。ただ、泣きたい気持ちがこみ上げてきて、手をきつく握り締める]