[そして、同じように王宮を仰ぎ見る。風が凪いでいて、何も分かりはしなかったが、ただ、重い空気だけが感ぜられた。] 折角、機会が降ってきたのだ、 前向きに考えておくさ。 “Occasio aegre offertur,facile amittitur.〔機会は与えられにくく、失われやすい。〕” …… 前人も、そう説いたと言うからな。[自由気儘、風と気持ちの流れる儘、…そういう生き様の自身には悪くない話に思えたのだ。それは、俺の性格のみならず。この国の限界を伝えられたせい、かもしれない。]*