―― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ――
[すぅ、と滑るように空を翔ける。
霧がかかっているせいで視界は効かず、元より風の性質のネージュは霧の中の探索は得意ではない。
得意ではないが、特定の存在を感じ取る能力は健在で。
それは竜ならばどれもが持ち得る物だろう。]
――――…そうか。
[ぴくり、とネージュが反応し一声鳴いた。
それだけで白竜がどの気配を察知したのか分かる。
このまま引き返すのも一つの手ではあるが。
どちらにせよぶつかるべき相手であるし、何より背後を襲われる可能性は捨てきれない。
何故ならこちらが気づいたのだから、あちらも気づいていてもおかしくないからだ。]