― 中庭 ―
[ひなたぼっこなんてするのはいつ以来だろうか。
子どもたちの世話を焼いていると、落ち着く時間が減ってしまうのは事実だ。
少しでも目を離すと寄り道をしていたり、果ては迷子になってしまったり。]
そういえばあの時も……。
[孤児院の子どもたちと遊んでいた頃、一人の女の子が迷子になってしまって。
シスターや他の子どもたちとも協力して、無事見つけられた時には随分安堵したものだ。]
ふふ、神父様が一番おろおろしてたのよね。
[それだけ子どもたちを大切に思っているのだろう。
心優しくて、それと同時に脆い人。
小さく零れた笑みには、慈愛が混じっていた。]