─ 街中 ─
[クララとヴェルナ―を見送った後、私は大通りに背を向けるように踵を返した。
友の様に道中で倒れてたりしないかと案じ、公私ともに付き合いのある家を巡る為だが]
なんだ。
みんな、居ないと思ったら此処に集まっていたのか。
『あぁ、心配させてしまったかい?
すまなかったね』
[一番に覗いた農家の元はもぬけの殻で、その次の家もまた不在。
まさか全員眠ってしまった訳ではないだろうにと不安に思いながら訪れた次の家で、不在だった家の主が皆居ることに驚いた後。
誰かが眠りに落ちてしまった時周りが対処できるように一軒に集ったのだと教えられて、これなら不安も少なく済みそうだと理解できた。
成程、互いに収穫を手伝い合うこともあり横の繋がりが強い彼らこその対応策だ。
工房に一人閉じこもる事も多い職人だとこういう発想はあまり出ない、というか偏屈な者も多いので声をかけられても断る可能性もあり。
実際、ここに居る彼らの中には付き合いのある職人にも声をかけて断られたという]