― 回想:いつかの王城 ―
[その日、各地の制圧、そして統治状況の定期報告に王の御前にいた。
一頻りの報告を終えて、政務をしている王の傍ら、すっかりペットになったコカトリスを一目見た後、普段仕事の話以外口にしない闇エルフが、わずかにためらいがちに口を開いた。]
……我が王。
御無礼は承知しておりますが、お伺いしてもよろしいでしょうか。
[わずかな順々の後。]
―――貴方の思い描く世界の在り方を。
[これまで影として傍に在り、見てきた。
だが、王の、自分が惹かれるギィの口から聞き確かめたい。
それがヴェルザンディ自身の意志が望んだ最初で最後の望みとなるのは、この時はまだ知る由もないこと。*]