……いえ。
こちらこそ……と言うのも堂々巡りでしょう。
[なぜそのように取り乱したのか
カスパルの口から理由を語られることはなかった。>>51
ただ、どうにも線を引かれた気がする。
任務外では気安く呼んで構わないと新兵にも言う程だ。
同輩であれば尚の事その気があるのだが、固辞されそうだと
固い表情に感じ取る。]
以後、よろしくお願いします。
ズィーネ中尉。
[不可解な初対面の区切りとして握手を求めた。
一瞬だけ触れた掌はやけに冷たく感じる。>>52]
……なんだろう。
[カスパルがここに何か用事があったのではないかと
彼が立ち去り椅子に腰を落としてから思い至り、
しかし今から追いかけて再度声をかける気は起きない。]