――野暮な事を仰る。
[血肉を貪るよりも、ただ唇に触れる事の方が暴力的に
思うのは、自分特有の倫理であるかもしれない。
サシャの心を得られる未来を描いた事がなかった。
複雑そうに、苦い笑みを浮かべてみせる]
いつだって、俺があの子に縋る一方でしたよ。
[強く抱き締め、寝台を軋ませた刹那。
ずっと諦めていた想いをぶつけたのは確かだったから、
否定はしない。したくも、ない。
取り返しのつかない選択を、確かにしたのだから
サシャたちの命を、アルビンの決意を受けて生きる身を
容易く諦めたりすまいと、心に決めていた]