― 『神魔の領域』・森の中 ―
師匠……。
[真剣な眼差しで言われた言葉>>50に、何故か胸が一杯になって泣いてしまった。
突き放す方法は幾らでもあったと今となっては思うが、あの頃は何も考えず、憧れるままについて回っていたものだ。
そんな感極まった風になる前か後か、彼は茶目っ気のある口調で花の話をして]
はい……。
あ、でも、これって人のもらっていいんでしょうか?
それとも交換で……?
[涙を拭いつつ小首を傾げる。
気持ちの話で言えば、もう既に――というか随分と昔に受け取っていたようなものだけど、それはともかく]
[そんな花のやりとりをする頭上では、二つの蝶が溶け合い色を変じていた>>51けれど、そちらを見上げる余裕はなかった]