[剣の先が地に着き、息が上がる。背に乗る痛みは、聖女を傷つけた代償か。己に神の加護など添わないのは知っている。切った額から血が溢れ、左目の端に筋を描いて落ちてゆく。咳き込むような喘息は、肺腑に溜まった冷気を吐き出すように。対する彼が己の一撃>>41を受けていなければ、戦況は一気に不利へ転じる。ゼ、と零れる息の合間、剣を支えに重い頭を上げ、双眸は迷わず、聖女を探した。形勢不利ならば、彼女だけでも逃さねば―――、逃さねば、己の責と義務は果たされぬと。**]