― 学園都市外 ―
[ リヒャルトとフレデリカを、文字通り吹っ飛ばすと、男は少し遅れてその後を追った。リヒャルトが重ねがけされた術を制御出来ないという可能性は考えていない。フレデリカが共に居るのだから、どんなに疲れ果てていようと、意地でも落ちはしないだろうとの確信がある。
背後からは、ローレライの呪歌か、バンシーの啜り泣きを思わせる詠唱と湧き起こる霧が広がってくる。 ]
深き夜の底に眠る古の森の影
紫紺の闇の翼を広げ 我が身を内懐に包み隠さん
[ 霧の影響を受けぬぎりぎりの地点で地に降りると、宵闇に紛れる結界を纏い、 気配を殺して身を潜めた。]