[いつの間にか、平生を取り戻した彼女は再度尋ねてくるのだ。>>58]
“知り合い” には違いないだろうが。
“ただの” 知り合いとは思わない。
それでも、この国に尽くす忠義もない。
だから、俺は関わらないでいるつもりだ。
“何方にも” 。
[その答えは、よく捉えれば傍観する、
悪く捉えれば以降どう動いてもおかしくない、という内容だった。
その答えが、彼女にとってどう捉えられるのかは分からない。
然し、少なくとも多少油断を赦している今襲われる事があれば、怪我をするかは兎角一太刀くらいは浴びただろう。
(その際、疾くに滅びた筈の国の、着けているのを見た事もないような装飾が落ちる事もあったかもしれない。]**