― 炎上する城塞都市 ―
[扉の向こうは、炎の中だった。
先の優雅な空間とは程遠い。
距離も空間も、まったくでたらめな転移と思えた。
念のためにと振り返れば、既に開いてきた扉はない]
…、なるほど。
[やはり何らかの転移呪文。
固定ポータルにしては様子がおかしい、一方的な転移]
ランダムもしくはルーチン化された固定転移呪法…
一方通行の門か。
何者かが特異点を定めて大規模な術を施した……?
[分からない。
シェットラントの知る魔術の範囲を、
この世界の仕組みは大きく越えているようだった。
追求を諦め微かに眉を顰めて、燃える街へと足を踏み出す]