― 異界門 ―[桜の魔が薄紅に唇寄せ、浮かべた笑み>>53。 しかしそれは、花弁の砕ける音に消え、呟きと共に視線がこちらと交わった>>55。 先代と共に無粋と評する声が届くも、それには表情変えぬまま瞬きを一つ][蒼月が扇を閃かすと、風が一陣吹き抜ける。 桜の香り含んだ生温き風に眉を寄せ、氷華は右手を軽く外へ振るう。 風の含む水気が、香りと共に一瞬にして凍り付き、微細な結晶としてぱらぱらと足許に散らばった]