― Epilogue/
[ 高い空から鳥の声が落ちる。
それは探し人の連れている白い…
雪片のような鳥ではないかと
一縷を空に託すのには最早慣れた。
陽光を遮るように飛ぶ黒点は
夭夭と過ぎてはやがて果てへ消え行く。
嘗て国境と定められていた地に立って
掌で日差しを遮る貌に絵を描いていた頃の面影はない。
作り物めいた瞳が蒼穹を見上げ、幾度か瞬いた。 ]
…………探す当てもないものを
"探して届けてくれ"なんて
随分と酷な頼みをされたものだったねえ
[ 片手に在る紙には戯れに書いた文字が並ぶ。
誰に聞かせるでも無い詩を綴ったそれを
千々に破いて風に託せばはらはらと流れていく。 ]